ちょっと笑える小話集―エジリン

うちの高校は仏教系の男子校だった。

 

授業には宗教の時間があり、仏教を中心に道徳的な事や偉人についても題材として取り扱っていた。

 

ある日、宗教の時間に新任の先生がやって来た。

 

先生と言っても若いお坊さんである。

 

彼にとっては記念すべき初めての授業である。

 

彼はぎこちない手つきで手元のノートに書いてある内容を黒板に書き写した。

 

 

独特の緊張感が漂う中、深呼吸をした後、その新任の先生は説明を始めた。

 

 

 

「エジリンは『天才とは1%のひらめきと99%の努力である』という名言を残しました。」

 

 

エジリン?

 

 

エジリン?

 

 

クラスメートの1人が手を上げて発言した。

 

 

エジソンじゃないんですか?」

 

 

新任の先生はノートを見返し、「リ」と「ソ」を書き間違えていた事に気付いた後、こう言った。

 

 

 

「そうとも呼ぶ。」

 

 

彼はその日から「エジリン」と呼ばれることになった。

 

こんな無知な先生が教えるような高校にしか受からなかった自分が嫌になった。