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ちょっと笑える小話集―ハワイでの事件

ハワイに家族旅行に行った時の話である。

 

久し振りの海外旅行でうちの母のテンションは異常に高かった。

 

ハワイには夕方に到着し、ホテルに着く頃には真っ暗になっていた。

 

母はホテルに着くなりお土産屋さんに行きたいと言い出したのでホテルの近くのお土産屋さんに向かった。

 

この頃から母のテンションの高さについて行けず、色々な話が右の耳から左の耳に抜けて行っていた。

 

「このTシャツの色かわいいね。 日本ではあり得ない色合いだわ!」

「日焼け止めがSPF100もあるわよ。さすがアメリカね!」

「このジュース、色がグレーよ。体に悪そう!」

 

テンションが高いまま買い物を終えた母は夕食を食べ終わると疲れたのかすぐに寝てしまった。

 

翌朝、朝食をたべてすぐにみんなでプールへと繰り出したが、母はやはりテンションが高いままだった。

 

事件は昼食に起こった。

 

レストランで英語のメニューが読めない母は写真を見ながらはロブスターのスープとサラダのセットを頼んだ。

 

母は辛いけど美味しいと言いながらスープをすすっていた。

 

その時である。 母の顔が真っ赤になっていくのが分かった。

 

異常な赤さだ。

 

母は苦しみ始めた。

 

僕は急いでタクシーをつかまえて、近くの病院へと向かってもらった。

 

母はカキアレルギーをもっている。

 

きっとスープの中にカキの成分が入っていたに違いない。

 

普段は少々オイスターソースが入っているレベルでも問題はない。

 

でもここはアメリカ。 バカみたいに大量に入れているのかもしれない。

 

病院に着いたとき母は声も出せないほど苦しんでいた。

 

僕はドクターに向かって連呼した。

 

オイスター アレルギー! オイスター アレルギー!」

 

しかし、アレルギーの発音が悪かったらしく、伝わらない。

 

母はもがき苦しんでいる。 事態は一刻を争う状態だ。

 

その時である。 母は声を振り絞るようにドクターに向かって叫んだ。

 

「エス ピー エフ ワン ハンドレッド!」

 

 

僕には何を言っているのかさっぱり分からなかったが、ドクターは驚きつつも意味を理解し、ナースに指示をして母の体をお湯とタオルと石鹸で拭かせた。

 

そう。 母は今朝塗った日焼け止めが強力すぎて汗腺がコーティングされてしまったため汗をかけない状態となり、体温調節できないまま激辛スープを飲んでしまったのだ。 

 

きっとテンションの高かった母は上機嫌でSPF100を塗りたくったのだろう。

 

日焼け止めを洗浄してもらった母はすぐに元気になり、水を得た魚のように再びプールへ泳いで行った。